
お客様に見守られながら、鮨を握る感覚を身につけられる10年。
T.N. 2016年4月入社/オータニガーデンタワー店 板前(夜の板場も担当)

魚屋バイトから始まった“鮨を握る”への興味
大学では地球環境や住宅環境などを学んでいたので、当初はまったく飲食にこだわりはありませんでした。ところが学生時代にスーパーの鮮魚コーナーでバイトをして、自分の“手”で調理したものを直接お客様に喜んでいただける瞬間に夢中になったんです。もちろん最初は「ホントに自分が鮨屋へ?」という戸惑いもありましたが、就活サイトで久兵衛を見つけて説明会に足を運び「自分でつくったものをお客様に直接お渡しできる距離」に強く惹かれました。他の飲食業でも調理はできるかもしれない。でも、カウンター越しに自分が握った鮨をダイレクトに楽しんでいただく久兵衛のスタイルこそ、“やりたいことにぴったりだ”と思ったんです。
握る経験が宝物
入社前から「板場に立って鮨を握れるまで10年ほどかかる」と聞きましたが、それがむしろ魅力に感じられました。長い道のりの分、ベースをしっかり築き上げられると思ったんです。最初は洗い物や仕込みなど裏方中心の日常業務がメインで、営業後に先輩の指導を受けながら自主練習を重ねる日々。久兵衛の場合、宴会場の“屋台握り”を経験できるのは大きいですね。大勢のお客様に鮨を提供するなかで、上達のカギとなる「数を握る」感覚を身につけられる。こうした地道な積み重ねは、あたたかい目で見守りつつ指導してくださる先輩方と、「せっかくならしっかり腕を磨こう」という自分のモチベーションがあってこそ続いていると思います。
手づくりへの評価がダイレクトに返ってくる喜び
板場に立つようになってからは、仕込みや捌きの技術だけでなく、お客様との会話や空気づくりにも神経を使うようになりました。常連のお客様ほど「この焼き物を焼いたのは誰?」と気軽に声をかけてくださるんです。褒められると「やってよかった!」と素直に嬉しくなりますし、逆に厳しい指摘をいただいた時こそ伸びしろだと感じます。料理人が直接お客様と顔を合わせない飲食店も多いですが、久兵衛のように目の前で鮨を仕上げる距離感は他では味わえない刺激とやりがいをくれます。今は「あなたに握ってもらいたい」と言ってもらえる回数をもっと増やすことが目標ですね。
休みと緊張感のバランスが長く続けられる秘訣
一人前になるには時間がかかるぶん、「ずっと休みなしで修行漬けなのでは?」と思われることもありますが、実際はシフト制で月に8日はしっかり休めます。ホテル店なら夏季にまとまった連休を取る仕組みもあって、僕自身、長い休みを利用して全国の鮨屋を巡ったりしています。そこで「自分だったらこう握りたい」と発想が広がる瞬間も多いんです。緊張感を持ってお客様に鮨を出しつつ、きちんとオフでリフレッシュできるからこそ、長い年月をかけて職人としての腕を磨ける。これからも久兵衛ならではのキャリアを楽しみながら成長していきたいと思っています。
